日本経済は戦略なき民主党政権で壊滅する 民間資金による景気刺激(PFI)の活用

2010年6月15日 17:13  | 政経レポート

木村義雄政経レポート

日本経済は戦略なき民主党政権で壊滅する
民間資金による景気刺激(PFI)の活用

前衆議院議員
参議院比例区支部長  木村 義雄 

  ~トヨタを助けなかった鳩山内閣~

 民主党政権が迷走に迷走を重ねた普天間基地の移設問題は日米同盟を深く傷つけましたが、この問題の深刻さは経済問題に波及したことです。
 米国におけるトヨタのリコールと議会での社長の喚問は、日米政府間の約束を公然と踏みにじった民主党内閣の「条約破棄」への米国の報復です。
 それでなくても世界一位だったGMが破綻しトヨタがその座を奪ったときから米国民の心は穏やかではありませんでした。自動車は二〇世紀米国の繁栄のシンボルであり、愛着のある文化財といった存在でした。それがトップの座を日本のトヨタに奪われたのです。
 「良い品物を安く提供するから歓迎された。売れるのは当然だ。」とトヨタは言うでしょう。しかし、米国民の誇りは、そう簡単ではありません。
 これまで日米間に自動車、鉄鋼、繊維などの貿易摩擦がありました。そのたびに日本の閣僚が米国に飛び、水面下で協議し貿易摩擦の表面化を収めてきました。今回、トヨタ問題で経産相、国交相など動こうとしませんでした。
 トヨタは年間売上げ二十五兆円。日本のGDPの約五%を一社で稼ぐ日本経済の柱です。だから米国は狙い撃ちに叩きに出たのです。
 米国は議会、政府、裁判所の三権に加えてマスコミもトヨタいじめに入りました。しかもオバマ政権の主力は全米自動車労組です。
 トヨタに脇の甘さもあったのでしょう。しかし国益を踏まえて対応しなかった民主党政権に大きな問題がありました。


  ~取り残される日本~

 一年八ヵ月前のリーマンショックから世界各国は景気のテコ入れの効果により、復調の歩みがはっきりしました。とくに中国とインドは八~九%の成長を取り戻し機関車として世界経済を引っ張っています。震源地の米国も個人消費、生産、輸出の面で回復が著しい。この中で日本の回復力が極めて弱いのです。こう言えます。
 「中国とインドは高度成長路線。米国は九五%くらい戻った。しかし日本はリーマン以前に比べ二〇%低い、八〇%経済で低迷している。」
 この元凶はデフレギャップで日本がとくにひどいのです。供給力に比べ需要の不足が三五兆円~四〇兆円あります。GDPの七~八%に相当し、世界一の規模。これが日本経済回復のブレーキになっているのです。
 これは政治にとって大きな課題です。しかし民主党政権のマニフェストによるバラまき予算では解決しません。
 加えてギリシャを発端とするユーロ不安の表面化が起きました。これがポルトガル、スペイン、アイルランド、イタリア、英国、ハンガリーに広がりリーマンに続く膨大な経済危機が心配です。これによる円高、欧州経済の不振は日本の輸出を減らし、回復に水を差しかねません。
 ギリシャは粉飾決算で財政赤字がGDP比一二三%もあることがわかりました。しかし、日本の財政赤字はこれを上回るGDP比一九〇%。民主党政権になって二〇一〇年度予算は三七兆円の税収なのに九三兆円。このままでは来年、国の借金は一千兆円を突破し数年後には一四〇〇兆円を超えます。
 「日本には一四〇〇兆円の個人金融資産があり、これによって国債は安定的に買われている。ギリシャとは違う。」と言われてきました。たしかにギリシャの国債は六〇%が海外の投資家によって買われ、米国債は五二%、ドイツは五〇%が国外。日本の国債は国内で九六%が消化されています。
 しかし個人の金融資産を上回る財政赤字になったら話は違います。ゴールドマンサックスは次のレポートを出しました。
 「二〇一一年から一三年にかけて日本財政は危機的状況を迎える。」
 まさに日本の国家財政の破綻を示唆しているのです。これに伴って格付け会社によっては日本国債を「安定銘柄から不安定銘柄へ」格下げするケースも出ています。
 「予算のムダを省けば十六兆円の財源が出ます」というのが民主党の言い分でした。事業仕分けによる歳出削減も鳴り物入りで始まりましたが、第一次のカットは一兆円に及ばずわずか六千億円、第二次も期待できません。これも「公約のウソ」でした。


  ~企業の業績を上げるのが第一~

 いま中国、インドの成長率は八%。我が国でいえば大阪万博のころの勢いを思わせます。我が国の成長率は一九六〇年代が一〇.五%の高さでした。それが七〇年代に五.二%、八〇年代は四.四%、九〇年代は一.五%、そして二〇〇〇年以降は実に0.八%という低さです。潜在成長力は二~三%はある。とされるのに実力不相応の低成長に、もがき苦しんでいるのです。
 成長力を取り戻すにはどうしたらよいでしょうか。私は次のことが基本だと思います。
 「企業の業績を上げ、雇用を増やし給与を上げる。これによって税収も増える。」
 問題は、そのための政策、成長戦略が不在だったことです。今、この観点から、議論されているのは次の二点です。
① 法人税を引き下げる。 ② 消費税を引き上げる。
まず日本の法人税が世界で極端に高いことが指摘されます。四〇.六九%です。
G8の先進国の平均が二五、九%。中国、韓国が猛成長を遂げていますが中国は二五%、韓国が二四%です。これでは日本の企業は重荷を背負わされて、外国企業と戦っているようなものです。
しかしそれでなくても税収が落ち込んでいる日本の財政で、法人税の引き下げが折り込めるかどうか。しかも最近の不況で法人税は十五兆円あったのが六兆円以下と半分以下に落ち込んでいます。
 次に消費税を現行の五%~一〇%以上二ケタへ上げる議論があります。消費税は一%上げると二兆五千億円、一〇%では二五兆円の増収になります。しかし前鳩山内閣は次のように言っているので当面は手つかずです。
 「次の衆議院選挙まで、四年間は消費税を上げない。」


~民間の埋蔵金を投資に~

 こども手当て五兆三千億円を配るにも、財源がなければ、年金、医療、福祉、介護の予算を削って回さざるをえません。
 税金で景気浮揚ができないなら、民間資金で公共事業等をやることで浮揚をはかるしかありません。
 これは私がかねてから提案しているPFI(民間資金による公共投資)です。PFI法案は平成十一年度に、自民党のPFI推進調査会長をしていた私が中心になって成立させました。
 いま企業の内部にかなり留保、剰余金があります。政府の埋蔵金でなく民間企業の埋蔵金です。
 民主党政権はこれに目をつけて、この民間の埋蔵金を税で取り上げようとしています。
 しかし民主党政権のように取り上げるのではなく、投資をしてもらう。投資をしてもらうための方策を考えるべきです。種もみを直に食べるのではなく種から芽を出させる。このPFI方式の活用によって雇用も増え消費も増え、景気が良くなることが期待されます。
 いま日本経済は中国向けの輸出が増加に転じ、二番底は回避され、上向きになりつつありますが、賃金の抑制、将来の生活不安によって家計が委縮し内需拡大がかんばしくありません。この脱却にありとあらゆる努力をすることが政治に課せられた使命と考えています。